お立ち寄りいただきありがとうございます。でめさん(@deme19800124)です。
外資系企業でサラリーマンをしているのですが、報酬体系が一部変わりました。ストックオプションの進化版というか、改悪版というか、なしくみなのですが、日本企業だとまぁまず聞かない、インセンティブプランである「RSU(Restricted Stock Unit)」という制度。
僕の会社はちょっと仕組みが違うのですが、ちゃんとした企業であればこれは合理的だし、離職を防げる仕組みだなと思いました。
ということで、RSUの仕組みの簡単な説明と何が良いと思うのか?をお伝えしたいと思います。
RSU はストックオプションとちょっと違った株式還元
「RSU(Restricted Stock Unit)」 ということで、「制限のある 株式の 単位」ってことでしょうか。日本語だと「譲渡制限付き自社株取得権」と訳されますが、もともとの言葉に譲渡なんて言葉はないと思います。なんか余計複雑にしてない?
ストックオプションは一定額で株を購入できる権利ですよね。今年は1,000円で株買っていいよ!な権利。これだと、株価が下がってきたりすると市場より高く買えるっていう、よくわからない権利になります。株価が右肩上がりが大前提の仕組み。
一方、僕の調べた限りは「RSUは株式がもらえる権利」を得ることができる仕組みです。
- 貰える権利を受け取る(Grant)
- 実際に株式を受け取る (Vest)
- 株式を売る(Exercise)
なんて段階で語られます。
日本語訳だとGrantもVestも「与える」になるようですが、Grantには「認める」っていう訳文もあるので、権利を認めるというフェーズ何でしょう。
それぞれの段階をちょっと細かく見ていきましょう。自分の所属会社の考え方に引きずられていると思いますが、大筋こんなことだということでいいと思います。
Grantはとりあえず仮押さえ期間
2021年度はいい感じ頑張ったから2022年度は 1,000 株、仮押さえの権利を上げるよ。
というのが Grant です。
この時点では株式がもらえていません。ただの権利です。この1,000株の仮押さえ権利というのがポイントだと思います。
実際に株式を得るのは次のフェーズになります。
例えば、2022年に付与された1,000株は1年間に25%しか株式に変換できない、最大4年間保持できる。そんな感じの権利にしちゃうんです。
Vestは株式の受け取り
このVestフェーズに制限をガッツリかけていく企業が多いと思います。
実際に株式になるタイミングがVestという権利行使をしたたタイミングです。
そして、「この権利は従業員にしか与えない」なんてこともできるわけですね。ボーナスと違って実際に受け取る権利を5年後まで先送りができる仕組みで、この権利が大きければ大きいほどやめるのもったいないというインセンティブが働くやり方ができるわけです。
また、外資だとポジションクローズやPIPなどで実質、解雇をされた場合もこの権利は使えなくなるでしょう。とても合理的なわけです。僕も外資で働く以上はこうならないように覚悟しながら業務をしなきゃいけません。ガンバる。
実際の運用は2022年にGrantで受け取った1,000株の権利を2023年に25%分、250株式として受け取ります。
株式として受け取る以上はその時の時価に対しての給与課税になるそうです。外資の場合源泉もしてくれないので、確定申告までしなきゃ行けないみたいです。大変。
株式を売ることで現金化
株式を受け取ったので、もうあとは市場で、売るなり持つなり好きにしましょう。
株なので下がるリスク、紙くずになるリスクももちろんありますが、上がる可能性もあります。
いずれにしてもストックオプションのように「買う権利」ではないので単純にインセンティブプランとして働くのがRSUの仕組みのいいところなんじゃないかなと思う次第です。
RSU を仮想化することで中小・スタートアップでも応用できる
この仕組で特にいいなと思ったのは、別に上場企業じゃなくてもいい感じに制度化できるところだなと思いました。
上場企業じゃないと基本的には株式を現金化することって難しいです。
だから、スタートアップなんて、上場させることが目標でそれまでストックオプションつけまくって、上場できたら、売り抜けてエンジェル投資家うぇい!なんてやり方をするんだと思っています。
それやったら、まぁ従業員はやめちゃうけど、後のことなんてどうでもよかったりする人が大半なのかな。
僕はその手の起業家界隈の気持ちは1mmも理解できない典型的サラリーマンなんで違ったらすみませんが、従業員にとって株式上場っていいことばっかりじゃないですよね。株主様のために数字作らなきゃいけないんですから。
給料が上がるとか、無理な数字偏重じゃなくなるとかのほうが幸せだと思います。
僕の所属している台湾企業は日本のプライム市場に上場ができるくらいの状況だけれども従業員の幸せを追求するために、上場はしないという方針。株主のための会社ではなく、お客様と、従業員のために力を割きたい。
そのうえで、出てきた利益は給料で返すよ!という考え方なんです。
一方ものすごい保守的な会社でもあるため、固定費を増やしちゃうのは厳しい。
ボーナスで返すとその場ですぐやめられちゃうリスクがでる。なので、このRSUの仕組みをバーチャルにするという施策に出るそうです。
仮想株式を配布する仕組み。で、この仮想株式を4年間に渡り現金化ができます。
会社としても、どのくらいの仮想株式が現金化されるかが毎年読めるので、その年の業績応じて仮想株価をフレキシブルに決められるのです。
従業員的にはストックオプションのように権利行使をしたら損をするってこともないですし。
業績が良ければこの仮想株式がの価格を上げればよく、悪ければ0にすることも別に問題はないという仕組み。こうなると、従業員が頑張ったら返ってくるという仕組みが社内だけで回せる形なんですよね。
上場企業の株主のために働いている従業員なんて一切いません。経営陣が株主に返す必要があるなんていうスピーチをしようもんなら、従業員は会社へ冷めた気持ちしか持ちませんが、自分に返ってくるかもしれないならそりゃあがんばりますよ。
利益はしっかり従業員に返そうという考え方の経営陣であれば、1,000人を超えてもそれなりにワンチーム感がある会社になるんじゃないかなと思いました。
比較的授業員満足度が高い会社では採用されていることのRSUの仕組み、非上場でも、スタートアップでいい感じに使える仕組み。僕はこんな会社で働いてるのでそれなりに幸せだと思ったよ!というお話でした。
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